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2011&2011&2013

01・アトリエエントランス改修

02・「親水住居」〜水のイマージュ

03・日本の民家

04・築地本願寺

05・ホキ美術館〜幕張ベイタウン

06・江戸の芝居小屋

07・台湾 九份

08・美術館あれこれ 上野 本編

09・美術館あれこれ 上野

10・美術館あれこれ 世田谷

11・美術館あれこれ 千葉

12・美術館あれこれ 北浦和

13美術館あれこれ 横須賀

14・美術館あれこれ 鎌倉

15・中野富士見町の家 竣工

16・中野富士見町の家 現場見学会

17・中野富士見町の家 祝 上棟

18・Valerio Olgiati 展

19・ふたつの建築展

20・海辺のヴィラ

21・ジェフリー・バワ

22・謎のシックハウス

 

2010&2011

23・a+u2011.02  サスティナビリティとは 

24・由比ヶ浜の家 竣工

25・環境住宅を考える

26・鬼石→高崎→前橋

27・Residential Masterpieces

28・いのくまさん

29・タイルのスタディ

30・影の予測

31・モデルフォト

32・グレン・マーカット

33・「エレメント」セシル・バルモント

34・新宿地区地域冷暖房見学

35・CABEE評価員

36・宇都宮 松が峰教会

37・宇都宮 聖ヨハネ教会

38・宇都宮 大谷石

39・宇都宮 SUMICA project

40・Seaside Villa

41・電子認証

42・一級建築士定期講習

43・CASBEE建築評価員試験

0.1・アトリエ・エントランス改修  

なかなか普段の仕事の合間に計画していて遅々として進まないのですが、7月中にはなんとか完成させたいと思っていますが・・・。展覧会等で地下水と保水性のブロックを使った蒸散壁の展示をして様々な人にアナウンスをして興味のもっていただいた方も多かったプロジェクトです。

取り急ぎ3Dのスタディでブロッック積みのイメージは作りましたのでアップします。あとは上部の水をドリップする部分と一番下で水を受ける部分を考えれば製作できるのですが。秋になってしまうかも・・・・です。下は実際のアトリエのエントランスです。10年経って板塀も痛みがあり、特にコンクリートとの接合分が腐ってきて触るとグラグラで危険になってきました。

ishikawa

02・「親水住居〜水のイマージュ」

展示のご案内

「親水住居〜水のイマージュ」
「CLUB OZONEスクエア情報発信コーナー/4月の展示」
http://www.ozone.co.jp/information/archives/2013/04/post_247.html

その後
6月2日と3日に「ASJ小金井スタジオ」で展示予定です。
http://www.asj-net.com

03・日本の民家

 汐留で「日本の民家1955年」を見てきた。ああ日本にこんな風景が50年前にはあったのだなぁと言うのが率直な感想。いくつかの民家は移築されたりしたものを見たことがあるが、やはりもともとあった周辺環境から切り離されて展示されている民家と長い年月の風雪に耐えてそこに建ち風景となっているものの違いは写真を見ても歴然である。

 自分は母親の故郷が山梨の竜王で、養蚕をしていた小屋や大きな土間の空間の記憶が少し残っていて、民家の土間の写真を見るうっすらと記憶が蘇る。小学校に入る前の記憶と思うので70年代前半の記憶だろう、この展覧会の写真達の10年以上後である。それでも農家の集落だった竜王の町並みは今にして思えば自分の貴重な原体験として残っていて、特に田園の向こうに見える富士山は鮮明に記憶に残っている。高校や大学の頃はそうした田舎の記憶など古くさく何の価値もないと思っていたし遠い過去のように思っていたが、年を重ねてみると意外と近い過去に日本あった風景であることに気づかされるし、それをこうした写真におさめていたいた慧眼に敬服する。展覧会では亡くなった二川幸夫さんの映像もながされていて、そうした感慨とともに面白く撮影のエピソードを聞かせたいただいた。

2013/3/20 ishikawa

04・築地本願寺

去る3月7日非常勤講師をしている工学院大学の建築学部の会で築地本願寺を見せていただいた。築地本願寺は伊藤忠太の設計である。創建当時は浅草近くの横山町にあり、1657年「振袖火事」といわれる大火で焼失し、その後八丁堀の海上である築地へ、その後関東大震災で焼失そして伊東忠太の設計により昭和9年1934年に現在の本堂が落成したようです。(参考:http://tsukijihongwanji.jp/tsukijihongwanji/125

インド様式の石造りいわれる威容はやはりこの界隈では今も目立つ存在で、先日見たホキ美術館の外観を見ている時にも通りがかりのおばさんに「この建物はなんですか?」と聞かれましたが落成当初も今も初めて見る人は驚きの建築物だろう。でもライトアップされるとなかなかエレガントな雰囲気で綺麗。特別に屋上に上がらせていただいた。ちょっと「ぶらタモリ」気分で楽しかったです。ありがとうございました。

05・ホキ美術館-幕張ベイタウン

大学の先輩でもあり勤めていた小沢研究室の先輩でもある山根さんとホキ美術館と幕張ベイタウンを訪れた。前日に小沢研究室で山根さんが担当したセントメリーズ・ロッジがJIAの25年賞を受賞したお祝いの会で島根から上京していた。

平日の金曜の午後に訪れたホキ美術館で驚いたのは人の多さである。立地条件もそれど良いとは言えないこの場所で平日に混雑しているとまでは言えないが多くの観客が居ることにまず驚いた。美術館といえば東京でも平日にこれほどの人がいることは珍しい。ランチタイムもレストランはほぼ満席であった。建築もさることながらハイパーリアリズムの絵画専門という展示内容が受けたのだろう。これほど成功した美術館も珍しいと思う。建築的には一度見ているの驚きは少なかったがやはり以前見たときに気が付かなかったディテールやはじめて使ったエレベータやレストランのトイレの作り込みを発見した。どこもかしこもデザインされつくれていて脱帽です。

予定になかったが帰り道で時間に余裕があるので急遽、幕張ベイタウンを訪れることに。10年ぶりくらいかも知れない。独立したころに最後に設計したマリンフォートの工事現場にお邪魔した以来と思う。東日本大大震災で液状化したのは知っていたがいまだにあちこちでその改修工事が行われていたし、傷跡もそのままの状態のものもかなりあった。一方街が誕生して20年近く経過したことで素晴らしく街らしくなり人に賑わいも格段に多くなっていた。

この街には街作りに関するデザインガイドラインがあり道路から2Mセットバックしたラインで壁面線を統一する沿道型の住棟配置やデザインの三層構成や高さなど多くの決め事があり、それらをチェックする設計調整会議とがあって個別のデザインが承認される制度がある。そして街をみるとこの制度は成功したと言えると思った。人によってはディズニーのようだと揶揄するのを聞いたことがあるが、いままでこんなに活き活きとした集合住宅で出来た街を見たのは初めてのような気がする。関わった手前味噌といわれそうだが、幕張ベイタウンに携わっていたこともあって、日本中で集合住宅を見たが、この規模でこれだけ成功している街は数少ないと思う。
そして個人的には小沢研究室に在籍していた当時、自分はこの街の二期目になるパティオス10番街とその周辺道路の設計を担当したのであるが、まだ入所2年目か3年目あたりで右も左もよくわからない状態で最初から完成まではじめて携わった思い出深い物件で、思い出しても苦い記憶の数々がよみがえる。あれから17年位経つわけだが少々失敗したと思う部分もあるがそんな細かいことよりも街全体が活き活きとしていたことがとても嬉しかった。もちろん10年程前に関わったマリンフォートのサインライトウィングも思い出深かった。

2013/3/16 ishikawa

06・江戸の芝居小屋

六本木のサントリー美術館に「歌舞伎 江戸の芝居小屋」を見に行った。2月6日からの展覧会でその最初の週末の土曜日朝10時過ぎに行ったのだったが、なかなか盛況で少し驚いた。
実は歌舞伎にはあまり興味がなくて、日本の演劇空間の成り立ちに興味あって見に行った。歌舞伎の成り立ちの時の芝居小屋から明治の芝居小屋まで詳しく展示されていて面白かった。1603年の出雲阿国の舞台姿の絵から歌舞伎の成り立ちとして展示が始まるのだが、初期の芝居小屋は、ほとんど仮設の空間で舞台と簡易な幔幕のような囲い、あるいは木の簡易な囲いによって演劇空間が作られている。その頃の舞台形式は能舞台のような橋がかりと舞台によって構成されているものがほとんどで、客席は屋外である。場所も神社の境内や河原などで興業が行われていたようで今で言えば屋外ライブのような場所だったんだろう。江戸の中期になると芝居小屋は街中に歓楽街を形成し完全に屋内化された空間になり、客席も2階の桟敷席が出来たり、花道もこの頃の舞台には現れて次第に歌舞伎独自の劇場スタイルとなっていく。また幕府が規制をはじめた背景に男娼とセットとして歓楽街成り立っていたこともはじめて知った。芝居小屋の成り立ちの過程が丁寧に展示されていてとてもよくわかる展示で勉強になった。

芝居小屋もスタイルだけ定着すると紋切り型で面白くなくなる。初期の屋外でのライブ感は絵で見て臨場感が伝わってくる、そうした舞台と客席の関係を際立たせるような場所の創出こそ建築家の役割だろう、そうした舞台建築を実現できるような機会があればやってみたいものであると思わせる展覧会であった。新しい歌舞伎座にも足を運んでみよう。

 2013/2/11 ishikawa

07・台湾 九份 

7月31日~8月2日まで台湾に行ってきました。先生仲間8名でのツアーです。成田からのフライトで台北には13時に到着。空港からホテルまでは現地ガイドの曽さんという70overのおじいさまでした。かなりの親日派でその理由や日本に20回以上旅行した話などたっぷりと聞かされました。ホテルは台北駅前のシーザーパーク、安ツアーにしては立派なホテル。チェックイン後マイクロバスをチャーターして一路九份へ。台北に行った方なら説明の必要のない観光地として有名な場所。かつては金鉱の街として栄え、その後、侯孝賢監督の映画「悲情城市」のロケ地として、最近ではジブリアニメ「千と千尋の神隠し」のモデルともいわれている街です。台北からは車で40分程度でしょうか山間の街で海が望めます。行った日は火曜日にもかかわらず多くの観光客が訪れていました。

帰国後BSプレミアムで「三つの名を生きた兵士たち~台湾先住民“高砂族”の20世紀」を偶然見ました。ガイドの曽さんの子供の頃の話で台湾先住民の悲しい歴史の話でした。台湾の人々からすれば日本は初めて出会った近代国家であり中国の辺鄙な片田舎を近代化したことや最近の技術交流などの面で親日ということを曽さんは語っていたが、実際は植民地支配していたことを考えれば、複雑な感情がそこには存在します。その番組に出ていた先住民の老人男性は日本人と先住民との間に生まれ日本人父の顔さえ知らないという。そうした不幸な出生によって人生を翻弄されたエピソードが語れていました。日本だって占領時代に生まれたアメリカ人とのハーフの子供といえば誰しも不幸な出自を思い描くだろう。それに加えて台湾先住民達は日本が去った後にさらに新たな統治者蒋介石から長年弾圧を受けた訳で台湾の人々は20世紀の大半を過酷な運命を生きてきたのである。そういった歴史を知ると曽さんの親日という発言はとても深い意味が込められていたのではないだろうかと思う。

最後に余談ですが

今回はじめてシグマの8−16ミリというスーパー広角レンズで撮影しました。狭い場所を広く写せる訳ですがアップした中でも海を写した写真や建物全景を写した写真はこのレンズの広い画角がいかされているのですが、奥行きのある通りの写真に関しては使えないですね。写真をみると通りの先の奥行きが何倍も遠くなった印象で臨場感がない、もう少し画角の狭いレンズのほうが通りの先を引き寄せられたかもと思ったりします。一長一短なわけですがそれでもレンズ交換すればよいのですが九份に行った時に雨でそれも叶わずでした。こういう状況を考えるとやっぱり旅行にはスーパーズームレンズが万能ですね。ただスーパーズームだと広角側が18ミリスタートなのでもう少しって感じなので、せめて14ミリスタートかスーパーズームでなくとも12ミリ-80ミリくらいあると丁度良さそうだが・・・購入するにもズームの画角は悩ましい。

2013/3/16 ishikawa

08・美術館あれこれ 〜上野 本編

上野で一番好きな建築、ゴミゴミした上野でこの一画だけ静寂をたたえている。谷口作品ではこれと酒田の土門拳記念館が自分の好みである。この写真はつい最近訪れた時の写真。3.11の時の様子を館の人に聞いたが美術品に被害はなかったそうである。免震構造の上に免震展示ケースと2重の対策が功を奏したか。見に行くとわかるが地震で絶対に倒れると思うような仏像が沢山並んでいる。あれが倒れなかったのは凄いと思う。

上野には国立の美術館、博物館のほか上野の森美術館、芸大の美術館、そのほか東京文化会館、子供図書館などいわゆる文化施設が集中している。建築設計に携わっている人なら一度は訪れる場所だろう。そうでなくとも東京近郊に住んでいれば小さい頃に上野動物園に遠足で来たことがあるはず。そうした施設群のなかで、やはりひとつ別格の扱いを受けているのはコルビジェ設計の西洋美術館である。コルビジェの設計であるということと、無限成長美術館というコンセプトを世界で実現した三つの美術館のうちの1つで保存状態は一番ではないだろうか。成長する美術館はコルが1928年に「ムンダネウム」というポール・オトレのプロジェクトの為にジュネーブの国際連盟の敷地に隣接した土地にまとめられたプロジェクトの核となっている世界美術館が原型である。プロジェクトの図面をみると世界美術館はプラミッド状にとぐろをまいた形をしている、ブリューゲルのバベルの塔のよう。この案には当初かなりの批判があったようで、後年これを改良したのが中心から外へ四角い形状で螺旋状に成長する無限成長美術館となった。
西洋美術館の周辺もムンダネウムと同じよう「街、La Ville」として美術館を中心に野外劇場などを伴った文化複合地区として計画されている。コルの死後に弟子の前川國男が東京文化会館を手がけたように世界で実現した他の二つの美術館も今日では上野とおなじように文化複合地区としてムンダネウムの流れを受け継いで実現している。こうした公園内の文化施設の複合化はコルの西洋美術館によってその後高度成長期を迎える日本中で拍車がかかったのではないだろうか。

あらためてコルの作品集を見ると無限成長美術館は螺旋状に成長するようになっているが、実際のプロジェクトでそのように成長したことはない。西洋美術館の増築も螺旋方向に増築しているようにも見えるが実際は中庭を囲む配置とみるほうがあたっている。そのあたりは現実の状況と照らす必要があると思うが、世界で1つくらいコルの理念通り増築しても良かったのではないかと思うがそれは設計者が生きているうちでないと出来なかったことだろう、不幸にもコルの存命中にはこれらの美術館で増築の要請はなかったと思われる。もはやコルの神格化ともに西洋美術館の原型を壊すような増築は永遠になされないでしょうね。
(参照資料:ムンダネウム/山名善之/桑田光平訳、コルビジェ作品集vol.7p164p191Zurich : Les Editions D'Architecture, 1946-1970.)

2013/6/1 ishikawa

09・美術館あれこれ 〜上野

暫く更新していませんでしたが、来週はプロポの締め切りがあるので最近撮影した東京文化会館の写真を。奇麗になったんですね。自分が学生の頃は西洋美術館も文化会館も古びて見えたのですが、どちらも色がきれいに再現されるととたんに空間がいきいき感じられました。 

2012/6/1 ishikawa

10・美術館あれこれ 〜世田谷

世田谷美術館。写真はなしです。

世田谷美術館は1986年オープンなので26年経過しています。昨年休館してリニューアル工事をしたようなので訪れたときはピカピカでした。新築時との違いで真っ先にきがつくには屋根の色でしょうね。新築時は緑青色をしていましたが現在は赤くなっています。排気ガスの影響?とにかく環八は石原都知事が規制するまでは環八雲といわれるスモッグが道路の上空に沿って出現するほど大気汚染されていましたから。

とにかく訪れてはじめに気がつくのは装飾的なディテールの数々。1986年と言えばポストモダン全盛期だったからでしょうか?その後の内井建築の原型が世田谷美術館という位置づけになるのでしょうか。バブル絶頂期で予算も潤沢だったことと推察します。かつて伊藤ていじ先生に内井さんのルーツはロシア正教にあるのでニコライ堂のような教会的な空間は内井さんの原体験なのだと学生の頃聞いたことを思い出す。世田谷美術館のあとも内井さんの作品は内井ワールドといっても過言ではない装飾に彩られた建築的世界を次々と発表していくことになる。
美術館として大きな大理石のエントランスがあってそこから展示室へと続くながれは古典主義的な美術館と言えます。エントランスの大きな空間は日本各地の美術館建築のスタイルであるが、こうしたエントランスによる権威的な建築表現は金沢の21世紀美術館によって完全に流れがかわったように思う。どちらも公園との親和性をコンセプトにしているが美術館建築としては全く正反対の建築と位置づけられる。実際21世紀美術館でインタビューを受けるセジマさんの言葉の端々には世田谷型の美術館建築に批判的であった。実際セジマさんが批判したように21世紀美術館はエントランスだけでなくギャラリーを巡る導線など様々な新しい試みがなされ日本の美術館建築の流れを大きくかえた脱権威的作品(フラットな建築)と思う。

ここのギャラリーは天井も高く大きな展示物も充分に対応できる余裕があります。埼玉県立近代美術館と10年も違わないと思いますが予算の違いが空間の余裕になっている。また同じ公園内ですが低いスケールから徐々にボリュームを大きな物を奥へと配置したり、ボリュームを分節させたり雁行させたりとして圧迫感がでないような配慮は巧みで埼玉県立近代美術館よりも公園との親和性は高い。そして高価な仕上げを使っていることで長い期間を経てもへたれのこない良さは随所に感じられます。

最後にホキ美術館の時に床仕上げについて少し書きましたが、ここでは2階のギャラリーはカーペットになっていました。1階で靴の埃も落ちて2階は静寂の保てるカーペットでも良いだろうということでしょうね。後日紹介する上野の法隆寺館も実は2階にカーペットが使われています。そう考えるとやはり静寂な空間のためには音のでない床は理想といえますが、メンテナンスとの折り合いを何処でつけるかでしょうね。

2012/5/22 ishikawa

11・美術館あれこれ〜千葉

佐倉の川村記念美術館とホキ美術館。

川村記念美術館は実は、はじめて訪れた、いずれはと思っていたが佐倉は遠いのです。車で走ること約2時間ほんとに周囲には何にもないところに突如として美しい並木のアプローチが出現し、その森のような公園内に佇んでいる。ここはDICの研究所の敷地で大きな池を挟んで美術館と向かい合ってます。訪れた第一印象は西洋のシャトーという雰囲気です。石造りのお城の国という雰囲気で西洋の中世のテーマパークようです。
美術館は外装、内装とも完璧に近いほどメンテナンスされていて感心しました。特に内装のペイントは完璧!展示室は絵画のテーマ別に整理され重要なコレクションには特別な展示空間が用意されいます。特にロスコルームとニューマンの「アンナの光」の展示室は作品用のしつらえになった大きな展示室で見応えがあります。日本の美術館で近代絵画の為にこの規模で作ってる美術館は自分の記憶にはありません。その他フランクステラの作品も大きな展示室にほどよく展示されていてなかなかよいです。この美術館の常設展示室はとにかく展示物と空間のスケールがゆったりしていて抜群に良いです。理想的な鑑賞空間を実現している。余談ですが、昔、幕張新都心のオフィスビルは東京よりも廊下がゆったりしているいてスケールが違うということを感じましたが、ここでも都内の美術館にはないゆったりした展示空間となっている。
美術品を鑑賞したあとはツツジが咲いている池のまわりを一周してきました。だれでも公園は入れるので佐倉の人には憩いの場所になっているようです。

そしてホキ美術館へ車で移動。約40分程度。写真は駐車場側からのアプローチです。
この美術館は雑誌で見たとき実は大学の先輩の卒業設計にそっくりなのでなじめて見たときは別の意味でちょっと驚きました。そういえば日建にいた松畑さんの新建築のコンペ案もこんな雰囲気の建築でした。余談ですが。

中に入ると驚きの作品群です。「ハイパーリアリズム」というアメリカの画家達が都市の風景を写真のように描いた展覧会を確か渋谷の文化村で見た記憶があります。ボードリヤールのシュミレーテッドシティと通じる批評的絵画としてよく記憶しています。とにかくホキ美術館も写真のような写実的な絵画だけが展示されていてやっぱりそのリアルさに驚かされます。しかしここでは裸婦が多くてちょっと目のやり場に困るような気もします。4年生の娘も連れて行ったのですが「ホキさんて裸が好きなんだね」とポツリ・・・さすが女の子は敏感。いやらしさはないのですが・・・ちょっと微妙かも。
実はこの美術館は妻が設計担当者の案内で見たことがあるので予備知識があって見ました。とにかくコレクションが多くてその展示壁面を確保するための解決策で細長く引き伸ばされたキューブを何層にも重ね合わせた形になっているとか。そして設計者にとって想定外の出来事は予想を超える来館者。35M幅のギャラリーの両側に絵が展示してあるのでどうしても左右交互に見ながら進まねならないのですが、混雑すると交錯してちょっと見にくいのである。おそらくすいていればなんてことはないのだが訪問がGWで大混雑していたので。
建築についてはネガティブな部分が先になってしまったが、構造や天井面の工夫、絵画の壁面への固定方法、床のゴムチップなどデザインの質はかなり高く設計者の力量を感じる。
そして個人的に興味をひいたのは実はゴムチップの床仕上げある。以前から多くの美術館を訪れて感じたのはフローリングのような堅い仕上げは混雑時には雑音を発生させるので気になっていた。カーペットという所もあったがあれはきっと土足の場合メンテが大変だし耐久性に難もあり採用している美術館は少数と思う。ということで新手の床素材にとても興味津々というわけである。わがアトリエでも実は一度小学校の前庭で使ったことがある、柔らかくとても歩行感が良く転んでも怪我をしないので小学校では結構多く採用されているらしい、ただし屋外で。美術館を設計していて床材としてよくゴムチップを採用しようという思いついたことが凄いと思うのだが。なにせ初めてのことなので設計者も慎重に検討したとは思うが個人的にも興味があるので数年後訪れて経過を見守りたい。ただ現時点では静寂が保たれ、歩行感も柔らかく腰の悪い人にも優しい仕上げなのでなかなか良いと思う。ただし安っぽさが唯一の弱点。自分もどこか機会があれがインテリアで採用してみたい。

2012/5/22 ishikawa

12・美術館あれこれ〜北浦和

黒川紀章設計の埼玉県立近代美術館。

こちらは北浦和駅から徒歩10分の公園内にある美術館。こちらは1982年開館とありますので鎌倉別館とほぼ同時期です。格子のフレームと湾曲したガラス面がこの美術館の顔となっている。外部の格子の塗装の剥がれがだいぶ目立つのと内装の痛みも少々目立っている。市民ギャラリーやワークショップなど併設されており展示室だけではなく市民に開かれた美術館として当時としては新しいプログラムだったのではないだろうか?そういう盛沢山の用途のせいか美術館としてはややせせこましい印象であった。しかしもっといただけなかったのは常設展示室で蛍光管を使っていてしかも間引き照明がされていて、役所の昼休みのようだった。折角の絵がとても貧相にみえてしまって可哀想。

訪れたときには草間彌生の展覧会で朝一番だったのにチケットカウンターは長蛇の列であった。草間展も過去に数回見たがやっぱり美術館の箱によって印象がだいぶちがって見える。申し訳ないがこの美術館では草間彌生もやや古臭く見えた。あの内容の展示をやるには箱が小さすぎるし古びた建築仕上げのせいかちょっと萎える。
草間彌生自体はカボチャや写真ような環境的な作品は面白いと思うが絵はちょっと・・・・という感じで好きではないので今回の展覧会では新作の絵が盛り沢山すぎてイマイチでした。4年生の娘に上のチューリップをみせたら「かわいい!」という反応。いまも世界中で高値で作品が売れているらしいが、そのあたりなぜなのか理解しがたい。

2012/5/21 ishikawa

13・美術館あれこれ〜横須賀

神奈川県立美術館鎌倉館のあとにして一路横須賀まで足を伸ばした。写真は葉山のビーチ。やや渋滞していたが天気もよく景色もとてもよかった。

で横須賀に着いてから美術館の場所がわからなくて迷ったが程なく発見。鎌倉から1時間以上かかってしまった。

山本理顕氏の設計である。雑誌で見ていた時には水玉の開口が軽薄にみえて好きではなかった。実際に訪れてみると違った。横須賀の強い日差しのなかにガラスの透明感とまばゆい白の美術館はこの場所にとてもマッチしていた。この美しい自然光を取り入れたインテリアはとても心地よい空間である。展示空間の導線もとても工夫された遊び心が感じられて好印象。雑誌で軽薄に感じた水玉の窓も外の風景が見えるとなかなかだし、ビーチへと続くリゾート地の雰囲気を良く伝えている。

屋上はテラスになっていて気持ちよいのだが、施工者泣かせというか美術館としてはかなり思い切った納まりになっていることと察します。でもそういうことを忘れてしまうようなあっけらかんとした空と海があってそれに呼応した美術館としてうまく場所に馴染んでいた。

2012/5/21 ishikawa

14・美術館あれこれ〜鎌倉

神奈川県立近代美術館鎌倉館
坂倉淳三設計の1951年完成と言うから61年の歳月を経ている。コルビジェのスパイラル状に無限発展する美術館を踏襲していると言われているが、訪ねると全く違った印象を受ける。それは古都鎌倉の鶴岡八幡宮の境内の平氏池に面した敷地による部分が大きいと思われる。池に面することで空間の発展性は放棄されロケーションを意識した庭園と一部として作られている事が読み取れる。建物はさすがに古さを感じるが解体せずに是非オリジナルに近い状態でリノベーションして欲しい。とてもいい美術館と思う。蓮が天井に写っている。日本庭園を縁側から見ているよう。こういう部分はオリジナルに戻して欲しい、家具類も美術館の雰囲気を壊さないものにして欲しいと思う。

こちらは鎌倉別館、大高正人の設計。30年以上経過しているが、外装、内装とも新築のように綺麗な状態であった。ホームページをみると常設展スペースの確保と収蔵スペースの拡充の為に建てられたようだ。鶴岡八幡宮の遺構によって規模を縮小せざるを得なかったようである。ロケーションも奥まっていてわかりにくく道路と山に挟まれたような敷地の上に展示室も小さいこともあって集客には苦戦しそうな場所にある。二つの出っ張ったキューブがこの建物印象をきめていて磯崎新の北九州市立美術館美術館を彷彿とさせなくもない。

2012/5/21 ishikawa

15・中野富士見町の家 竣工

20099月より設計監理していた中野富士見町の家が竣工しました。

いつも完成時には感慨ひとしおですが、この住宅に関しては通常より長い期間を経て完成したの喜びも大きいです。ここに載せている写真は自分で撮影した物ですが、竣工写真はいつもお願いしている篠澤さんに撮影してもらいました。いずれその写真もアップします。取り急ぎということで。

16・中野富士見町の家 現場見学会

施主と施工会社の厚意で建設中の住宅の現場見学会を普段教えている学生を対象に開催した。

八王子で12時半まで授業があるにもかかわらず中野に3時に集合した有志の学生達は熱心で感心する。
学校の授業では体験することの出来ない建設途中を見ることで彼らが何かひとつでも感じ取ってくれればそれでよい。体験したことで勉学に即効性はないかもしれないが、ゼロ体験に対して無限大の価値がある。
完成時にも学生達だけで見学会を開催しようと思う。

17・祝 上棟

中野富士見町の家の施主に上棟祝いをいただきました。カマボコです。縁起物なのでアップします。来年から仕上げ工事を頑張ります!

18・Valerio Olgiati 展

竹橋の国立近代美術館で「ヴァレリオ・オルジャティ展」を見てきた。展覧会自体は 展覧会は2階のこぢんまりとしたスペースで開催されていた。模型と図面とモニター、イメージ写真、実物サンプルがメインで模型はスケール1/33という建築模型ではあまり使われないスケールで作られていた。作者の説明によれば抽象と具象の間くらいを狙って選択したスケールというような説明だった。そういえば展示された作品も実現した建築とアンビルドのもと区別がつきにくかった。展示にはテキストの説明は一切なくただただ幻想的な

建築群とドローイングとの静かな対話を強いられる。霧がかったCGは現実を超越した何かを訴えているように感じた。

ひさしぶりに訪れた近代美術館はやっぱり街から孤立していて寂しいし、内部も今一つ盛り上がりに欠ける、それと個人的にはあのギャラリーの床鳴りは気になるのだが・・・・。それにしても休日の皇居ランはブームのようで沢山のランナーが走っていた。

2012/11/14 ishikawa

19・ふたつの建築展

二つの展覧会「メタボリズムの未来都市展」と「建築アートが作り出す新しい環境 -これからの感じ」をみてきた。同日に続けて見たわけではないが。

「メタボリズムの未来都市展」はとにかく熱い!展示は戦後の焼け野原にすっと立ち上がった広島ピースセンターの写真からはじまる。戦後復興と同時代にメタボリズムは位置づけられているのだ。

80年代後半から90年代はじめに建築を学びはじめた世代にとってメタボリズムとは当時誰も声を大にして語っていなかったし古臭いものとして遠ざけられていたように思う。実際バブル全盛の華やかさからみるとあのブルータルな打ち放しコンクリートはなんとも時代遅れと感じたしメタボリスト達もポストモダンへと転向していたように見えた。それから20年経過して今回の展覧会をみると、メタボリスト達の作品の輝きはポストモダンの頃よりも50年代60年代に珠玉の作品を残していたことに気づかされる。(そうでない作家もいるが)そしてメガストラクチャーの構築物によって描き出された都市計画は巨大な模型やCGによって再現された者をみるとその迫力と情熱に圧倒されるものがあった。ホントにこんな夢みたいなこと真剣に考えていたのか!っとあらためて気づかされる。熱き時代を感じる展覧会であった。ポスターの富士山は戦後の日本を背負っていたという意味なんだろうか?よく見るとなぜここに富士山?と思うポスターである。

「建築アートが作り出す新しい環境 -これからの感じ」

 こちらは現代の雰囲気を体現できる展覧会で「これからの感じ」と表現されるようにメタボリズムとは古典と印象派くらいの隔たりを感じる。展示で最も印象に残ったのはやはりSANAAEPFLでいままで雑誌でしか見ていなかったが、ヴェンダースの3D映像によって建築の魅力が映し出されていてとても良かった。大スケールの模型も雑誌の写真よりも良かったが、ヴェンダースの映像によってこの建築の流れるようなフォルムがよりわかりやすく美しく表現されていたと思う。映像のなかで圧縮空気を動力としたAIRpodが登場したり、セグウェイにのった設計者が颯爽?とあらわれたり、茶目っ気のあるカットもあって楽しい。しかし本当に美しい建築で、設計者がさまざなコンペの場で語っていた公園のような建築というコンセプトにふさわしい出来映えで、ほんとに柔らかで居心地の良さそう雰囲気で、これからの感じなのかもしれない。SANAAの最高傑作と思う。日本で実現されれば良かったと思う。
 その他、藤本壮氏の最新プロジェクトの模型も面白い住宅で連れて行った娘も楽しそうに一生懸命眺めていた。こちらもオススメの展覧会。来週は竹橋でオルジアッティ展へ行く予定。

2012/11/07 ishikawa

20・海辺のヴィラ

たまにはアトリエ内の仕事の話題も。以前「sea sidevilla」でアップしたプロジェクト。紆余曲折あっていまだ設計中なのですが、これは昨年、確認申請まで下ろした時の計画案。なんせ建坪140坪超でまさにヴィラと呼ぶに相応しい大きさで、4×25Mプールが前面にあって、しかもビーチも独り占めで絶好のロケーションなのです。

2011/6/15 isikawa

21・ジェフリー・バワ

画像はGAのレジデンシャル・マスターピース。a+uの今月号にもバワの特集である。ジェフリー・バワはスリランカの建築家でロンドンのAAスクールで学んでいる。バワの魅力は熱帯に属する高温多湿なスリランカの気候風土と調和したデザインであろう。端正なモダニズムと風土に習った、勾配屋根や木製スクリーン、半屋外となる大きな庇、バルコニーなど周辺の自然と呼応しながらそれらがうまくミックスされ抑制の利いたデザインがとても心地よさそうである。スリランカはなかなか遠い国で治安も不安な面もあるが、バワの建築は国をあげて保存されているようで多く見学できるようである。是非一度訪ねてみたい。

2011/6/14 ishikawa

22・謎のシックハウス

最近またシックハウス症候群の被害が増えているという。10年ほど前に建築基準法で13種類の化学物質に対して規制を行い、以来あまり大きな被害が聞かれなくなってきたはずなのに。

「あさイチ」というNHKの番組ではリフォームした学校、新築した学校、新築のマンションなどの被害例が紹介され、いずれも国で規制する化学物質は規制値以上に検出されなかった、しかしTVOCという空気中に含まれる化学物質のトータルが規制値を超えている事例ががあり、どうやら規制以外が空気中には充満していてそれが原因であるらしいのである。テレビではその物質を特定するために7ヶ月を費やした新築の学校の事例を紹介して、それが人体に影響が少ないと思われていた水性塗料に含まれていたことがわかったのである。また特定に7ヶ月を要したように何が原因が突き止める作業はとても困難で国でもしばらくは原因がわからない以上規制には時間を要するだろう。したがってしばらくは業界で安全対策を自主的に行うほかないのである。
我々が9年程前に設計した小学校でもシックハウスの測定をしてから引き渡しをした。問題がなかったのは当然で使用してからも被害の報告はない。おそらく今でも公共建築や大規模建築物では同じように引き渡し前に測定しているはずで、ここ数年そういった被害も新築ではほとんど聞いたことがなかった。
 ここから推察されるのは規制から10年程度経過して、塗料や接着剤など建築現場で使われる化学物質も時代とともに進化して新しい化学物質が作り出されているのでは?という仮説である。そして規制がそれに追いつかない状態にさしかかってきたのではないだろうか。

我々設計者にできることは、できるだけ化学物質を含む建材の使用をしないこと、また使用する場合でも充分注意が必要で現場では実績のある物を使用するようにしなければならないだろう。以前もそうであったが、持ち込み家具も要注意である。シックハウス症候群も終わったと思っていたら第二フェーズが待っていたという事のようである。注意せねば。2011/6/14 2011/5/25

23・a+u2011.02 サスティナビリティとは

最新のa+uはアラップのサスティナブルデザインの特集号である。
巻頭にサスティナビリティーとは「将来のニーズを満たせるだけの余地を残しつつ、現在のニーズを満たすこと」とある。
将来世代のことを顧みず資源を使い捨てすることは発展している社会にとってどうしても趨勢になってしまうのであるが、この流れを逆転させることは容易ではない。

本書ではアラップのここ10年の取り組みが紹介されていて、そのキーコンセプトは「トータル・デザイン」であるという。建築にかかわるさまざまな事側を全体論的な視点で解決して行こうとするもので、それは人的交流のフラット化とか設計から建設まで建設行為全体、都市計画、産業まで含めているらしいのだが・・・・詳しくは本書で。
紹介されているプロジェクトをみると高度な環境技術を駆使して実現されたものばかりで、こういった建築は我々みたいな小さなアトリエ事務所には真似の出来ない芸当でである。それは表層的なデザインの話ではなく、ここで実現されている技術の考え方自体は古くから知られていることばかりで特段新しいことはない、しかし設計時にはアラップがコンピューターを駆使してシミュレーションしながら応用したものばかりである。その解析やシミュレーションが我々には出来ない部分なのである。しかしこうした技術は大きな組織事務所に任せおけばよいことで紹介されたプロジェクトは効果を科学的に証明されたようなもので、ありがたい。我々のような小規模事務所はこうしたテクノロジーをローカルな部分でディテールを考えることと、サスティナビリティを文化的な側面で考えていくことがその存在価値といえよう。

日本では地震による原発事故で電力不足がクローズアップされているので省エネルギーに感心が高くなる1年になるでしょうね。

2011/4/7

24・由比ヶ浜の家 竣工間近

由比ヶ浜の家・・・まだ仮称ですが、ほぼ出来上がりました。ほぼというのは、インテリアの未成工事と外構工事がまだ終わっていないという意味ですが、とりあえず建築写真家の篠澤さんに竣工写真を撮ってもらいました。ブログ掲載の写真は石川が撮りました(言わなくてもわかるでしょうが)、竣工写真は後日正式にアップします。

今回のクライアントはインテリアデザイナーの岩崎さんで、岩崎さん一家とお母様とお兄様の2世帯住宅という計画です。設計は岩崎さんと藤本の共同作業で進めました。住宅を設計するのはライセンスが必要なので、主には法的な手続きと構造、設備の実務をサポートしながらということで進めてまいりました。昨年はこうした協業のデザインの仕事を二つほどやっていましたが、我々の事務所以外のデザインの考え方が入り込むことで、普段我々では考えが及ばないような部分もあって大いに刺激をもらったように思います。
 表題は由比ヶ浜と書いてありますが、土地勘のある人には直ぐにわかると思いますが鎌倉になります。東京からはやや遠くなりますが、海と山の自然に囲まれ歴史的な景観の残る風情のある街で住むには最高のロケーションと訪問してあらためて感じました。
敷地もプランも大らかなスケールで出来ていて都心の一戸建てではなかなかこうはいかない家になっています。敷地は鎌倉特有の1.5M巾くらいのフットパスのような路地に面していて車の進入ができませんが、門をくぐって敷地に入ってしまえば大きな庭もあってリスなんかがいたりします。そして2階にあるリビングに上がると周囲に高い建物がないので大きな窓から視界が広がっていて、夏には遠くに花火が見えるそうです。
 それにしてもいつも海辺に行くと空がキラキラしていて気持ちがよいのです、窓を開けて昼寝のしたくなる家でした。

2011/3/31

25・環境住宅を考える

旭硝子のHPで「環境住宅を考える」というテーマでコラムを書きましたので、時間がある時にでもご一読いただければ幸いです。

旭硝子アーキテクトルーム「住まいの話題627」「環境住宅を考える」

2010/12/15 ishikawa

26・鬼石→高崎→前橋

前橋で既存の建物をコンバージョンして美術館にするというコンペがあってその建物内部の見学会があるので急遽前橋へいくことになったので、前日夜に下調べをして表題のルートで建築見学へ。鬼石多目的ホール(sanaa)群馬県立近代美術館(磯崎アトリエ)JIN.CO.,LTD(青木淳)

まずは関越を練馬から北上して本庄児玉で降りて一路鬼石の多目的ホールへ
印象だけ一言で言うとシャボン玉公園とでもいうような建築でした。体育館や多目的ホールなどの機能がありながらこれだけの透明性と開放感を残して施設を実現したことはやはり驚きである。一度工学院のコンペのヒヤリングを同席したことがあるが、あの時もsanaaの案は自分には衝撃的であったことをいまも覚えている。まったく異星人のような存在でプログラムや敷地に対して極限まで忠実なのは実はsanaaの提案でそれは建築ではなくスプーンやフォークなど極限まで機能的かつ合理的で美しいプロダクトのように見えた。その時自分がいかに古い建築的表現の虜なっていたかを強烈に感じたのである。鬼石でも同じように公共建築とはいかなる存在であるべきかという極限の合理的な答えがここに示されていたように思う。自分の中にあって虜にしている何かが綺麗さっぱり捨てられているように感じた。

そして高崎へ40分程度の移動。
ギャラリーは展覧会中で撮影できないので美術館のホームページへリンクしておきます。
群馬県立近代美術館施設写真へ
20
年ほど前にルイス・カーンの展覧会で訪れたのを最後に久しぶりの訪問である。その間、増築やリニューアルが行われインテリアは新しく生まれ変わっていた。今回一番気になっていた第3展示室を訪れるのが目的だったのだが、ここまできた甲斐があった。第3展示室に入った瞬間、神秘的とも言える立体空間の体験に圧倒された。大分の県立図書館のエントランスホールに入った瞬間にも同じような体験をした記憶が蘇った。美術館建築と言えば谷口吉生さんと磯崎新さんの美術館を多く訪れたたが、ホワイトキューブの内部にあっても両者の建築は全く印象が異なる。谷口さんはギャラリーは常に隅入りでよどみなく連続していくのだが、磯崎さんのギャラリーは必ず隅は閉じていて立方体や直方体など強く立体を感じるギャラリーとなっているのである。和風と西洋といってしまえば短絡すぎるがやはり磯崎さんはプラトン立体が磯崎建築の根幹をなしていて、訪れた時にそれとわかる特徴になっている。

そして前橋へ
コンペの敷地は西武百貨店が撤退した場所で市の中心にある。こういう場所に美術館をつくろうというのは好ましい発想といえるのだが、コンバージョンして美術館にしようというのが今回のプログラムで困った部分である。県立美術館を見た後ということもあるのかもしれないが、箱が小さすぎる印象があってとても起爆剤になるようなスケールを感じない。壊してつくりなすべきではないだろうか?と少し暗い気持ちになりながら最後の目的地へ
青木淳さんの設計したJIN.CO.,LTDです。直方体に伸ばされた3層構成のボリュームの1階と3階に有孔折半をダブルスキンののように貼り回した美しい建築。からっかぜが吹き下ろす敷地に防風の為の有孔折半を貼り回しているのだろうが、それ以上にレースのカーテンのような繊細でエレガントな表情が本当に綺麗で機能的なスクリーン以上の効果である。3階のオフィスでは働いている人の活動が透けて見え、前橋のやや郊外で一歩間違えばホントに寒々しい雰囲気になりかねないところで、このような風景を創出した建築家のデザイン力はさすがである。

2010/12/14 ishikawa

27・Residential Masterpiece

GAから世界現代住宅全集(Residential Masterpieces)というシリーズが刊行されていて、OMAのヴィラ・ダラヴァ/ボルドーの住宅が紹介されている03号を購入してみた。

これがとても写真の質が高くしかも大きい。 36 x 25.6 x 2.2 cmといえば77号まで刊行されている現代建築シリーズとほぼ同サイズであるが、本のページ数が倍以上になっており住宅の隅々まで詳細に撮影されていて本当に臨場感がある。そこでこのシリーズの他の号も購入しだしたわけだが、バラガン自邸をはじめ落水荘なども期待を裏切らない写真で本当にスバラシイ出来映え、価格も3千円程度で洋書に比較すれば格安である!と・・・いうことなしのシリーズではないだろうか。

2010/12/13 ishikawa

28・いのくまさん

初台の東京オペラシティのアートギャラリーで開催されている展覧会。
なかなかよかったです!

「いのくまさん」というタイトルの通り、親しみやすく、遊び心のある作品達が展示されていて、微笑ましい展覧会でした。
 10年以上前になるかなぁ、氏の絵を見るのは香川県の丸亀の氏の美術館を見に行った時以来かもしれません。その時は回顧展だったような記憶があって、膨大な量の作品が展示されていたような。そのときに見た記憶がある絵も沢山あったのですが、パンフレットにあるような猫のスケッチは記憶にありませんでした。これが愛らしくてたまりませんでしたね解説によると氏は多いときは1ダースの猫を飼っていたとか。実は2年生の娘と一緒に行ったのですが、帰ってきて猫の絵を真似て描いていました。それがなかなかいい感じなんですよ、何も考えずに好きなようにいきいきとしていて。子供しかかけないタッチってあるじゃないですか。ひととおり人生を経験して最後に原点回帰っていうのでしょうか。年を重ねて絵が大好きだった猪熊少年に帰って行った姿が印象的でした。

 ちなにみ展示計画は大学の後輩でもあり今は授業の同僚でもある横田歴男さんが担当していました。段ボールをタッカーで止めて作った展示台やプラドームなど遊び心が感じられて展示空間によく似合っていました。

2010/5/22 ishikawa

29・タイルのスタディ

タイルのスタディ。
これははじめの一歩で、設計のイメージを伝えてメーカーに見繕って貰ったもの。かなり大きなタイルです。下は横からみたタイルの断面。(ピント外してます)これを貼ると外壁が下見きり板風に見えます。つまり板張りのように見えるのが設計の上のイメージでした。はじめのものと比較すると少しサイズが小さいです。通常2丁掛けタイルと呼ばれるサイズです。ちょっとこれだと板張りというよりタイルっぽい外壁になりますね。地面に置いているので壁面になると両方もう少し影がハッキリして横ラインが強調されるはずで、通常のタイルよりは彫りが深くなるのも狙いなのです。はじめのものに決定したいところでしたが、実は技術的にNGということが判明してします。今回S造で作るのでタイルを貼る外壁の下地がセメント整形板なのですが、平米30キロまでしか荷重がかけられません、はじめのタイルの荷重は倍近くあって重量オーバーなのです。で2番目のものはいかにも2丁掛けタイルという表情でつまらないのですが、重量はOKなのでこれをベースに改良案を考えているところ・・出来るだけイメージに近くて軽量化することが課題で、いろいろ模索しているところ・・・・・ん~・・・・・S造はいつも考え甲斐がありますね。

2010/5/22 ishikawa

30・影の予測 Shadow Simulation

設計の過程で建物の影の影響がどの程度あるのか検討するのにコンピューターで予測することができます。画像は冬至(12月22日)の8時から16時までの影を作図したものです。このソフトは本来、都市部で法律で日影規制のある時に使われるソフトですが、影を作ることは同じなので、今回のように設計の過程で影の影響を調べるとき使ったりもします。ちなみに経度と緯度も手入力できるのでかなり正確に作成することが出来ます。以前勤めていた事務所では日影計算をするためにコンピューターからソフトまで含めて100万円近くしていた記憶がありますが、いまやキャドソフトのオプションソフトとして購入すれば10万もしないで購入できます。こういうものは日々進化して値段が安くなります。

2010/4/9 ishikawa

冬至

春分

夏至

31・モデルフォト

最近更新していなかったので、訪問していただいてもずっと同じ状況は申し訳ないので、最近のプロジェクトのモデルフォトをアップしました。形はできましたが、詳細をつくるお楽しみはこれからです。

2010/4/6 ishikawa

32・グレン・マーカット

年明けからグレン・マーカットの作品集をいくつか購入して毎日眺めている。このオーストラリアの建築家の作品を見れば見るほど新しい発見があって面白い。

マーカットの作品はほとんどが鉄骨を構造とした作品である。プランはシンプルな構成がほとんどで平面図なんて長方形がほぼ100%といってよいだろう。作品ごとの違いと言えば、屋根と開口部の扱いくらいだろう。しかしここにマーカットの作品の重要なコンセプトが集約されている。特に開口部はこの建築家が考え出したバリエーションがあって面白い。マーカットは「建築は風と光を取り込んで奏でる楽器のような存在」というような事を言ってるが、開口部はまさに空間に響きを与えているように扱われていることが読み取れる。敷地の読み込みから決定されるこうした開口部のデザインはとても美しい光をと風を感じさせる。こうした敷地の読み込みの素養は実はマーカットの父がランドスケープアーキテクチャーであったことに由来し、父から多くを教わったと言っている。
でなぜ、自分が今、マーカットの作品集をよくみているか?ということであるが、実はマーカットのTOTO出版から出ている本との出会いは数年前でギャラリー間の展覧会が開催されたことさえ知らなかったのであるが、ただたんに環境住宅、エコ住宅というテーマで本を物色しているときに出会ったのがきっかけである。そして本を購入したときには美しい建築作品であるがそれ以上の興味がわかなかったのである(なんたる愚行)。そしてギャラリー間の展覧会についても割と高名な建築家が「あれがエコ住宅とは思わない」というような不評をしていたのも影響していたりする。(実際にもヒートブリッジとなる鉄骨の梁などがあってそれはそうなのであるが、気候の違いがあるので、そのあたりは一概には言えない)
それがいま実はある物件で鉄骨増の開放的な建築をというクライアントリクエストによってマーカットを思い出し、作品集を見返せば見返すほど興味が深くなり、アマゾンでさらに作品集を手に入れた次第である。(物件も鉄骨によるヒートブリッジが気にならない南国である)

唯一の日本語作品集であるが、世界中探してもこれ以上のマーカットの作品集はないと思う。写真中心のカラー作品集と図面集である。TOTO出版。

2010/4/6 ishikawa

33・「エレメント」セシル・バルモント展

初台の東京ペラシティでは年に1回建築の展覧会が恒例になっており今年はセシル・バルモント展が開かれている。アトリエの直ぐ近くなので直ぐに見に行けばよいのだが終了ギリギリの12日に見て参りました。
セシル・バルモントは構造のエンジニアである。建築設計と一言でいっても通常は、意匠設計、構造設計、設備設計の大きくは三者で行うことが多い、それに加えて、ライティングデザイナーやランドスケープデザイナーなど物件の規模や性格によって様々な職種によって建築設計はなされるわけだが、セシル・バルモンとは主に構造設計を担当するエンジニア、デザイナーである。主にというのは意匠設計も担当する場合もあるし、彼の構造設計は意匠に大きく関わるという意味でも先に記述した職種の枠組みを超えているだろう。

このブログでも「インフォーマル」というセシル・バルモントの著作を紹介したことがある。「インフォーマル」とは「フォーマル」の対の意味で通常の構造設計は最も安定した形を理想とし、対称系で静的なものを「フォーマル」とするとそれとは対になる非対称系、動的な力学と形のものを「インフォーマル」と呼んでいる。今回の展覧会も同じようなことを期待していたのだがタイトルの「エレメント」とはどうやら自然の中に存在する隠れた法則(エレメント)それを建築物の構造にどのように置きかえているかに展覧会の主眼が置かれていてるようだ。「インフォーマル」の著作のなかでもこうしたエレメントの抽出は書かれていたが、この展覧会では彼が普段、自然を観察してエレメントを抽出する思考過程が順を追って展示されている。ただこうした思考過程自体は新しい事ではなく「自然のパターン/patterns in naturePeter SStevensの著作にも展覧会とほぼ同じような形の生成原理が書かれている。セシル・バルモントが注目されるのはこうした着眼点自体ではなく、それよりもこうしたエレメントを現実の建築物にエンジニアリングとして大胆に実現していることなんだろうと思う。世界中の著名な建築家とコラボレートする中で驚くほどの柔軟性というか創造力で建築の力学的な解決をして実現された建築はやはりいままでに見たことのない世界を作り出していると言わざるをえないだろう。こうした背景にはコンピューターによる解析速度の飛躍的な進歩ももちろんあるが、彼が協業している建築家をみてもインターナショナルでボーダーレスな時代も後押ししているように思える。
で今回の展示だが、実は個人的にはかなり不満であった、自然の隠れた法則を見つけ出す部分で展示の半分以上を使っていて、かつそれを応用した概念モデルの展示でまた半分(個人的にあまり評価していない部分が展示の大部分であった)、そして最後に現実のプロジェクトの小さな画面によるムービーという構成で、一番みたいところが最後に申し訳程度にムービーになっていたのである。なんとつまらない展示!彼が実現した建築の構造モデルの多くを大きな模型で見たかった。

2010/3/13 ishikawa

34・新宿地区地域冷暖房 見学

東京ガスさんのイベントでパークタワーに隣接している新宿地区地域冷暖房センターを見学してきました。写真はセンターにある1/80の模型。地上より地下空間の方が大きいのがわかる。センターの見学者はわずか5名であった。それも建築関係者だからやや畑違いの人達である。しかしセンターの見学には日本中、世界中から見学があるらしく、当日もたしか・・・国名を忘れましたが(発展途上国だったような)海外の電力関係者の見学の予定が受付に書かれていたのを記憶している。そのためかこのセンターも見学者の為にショウルームがあり、施設をの説明をする大きなレクチャールームも完備されていた。見学のナビゲートも女性の説明専門の職員とエンジニアが1人随行してくれた。東京ガスのこの施設は都庁を含めた新宿副都心の高層ビル街を網羅しており、床面積にすると世界一の規模らしい。 で この施設が具体的に何をしているかと言えば、副都心のビルにガスを燃料としてタービンを回し発電して冷水と高温の蒸気を作って供給している。供給される各ビルではそれを利用してフロアの冷暖房をしていると言うことらしい。(大雑把ですが)

実はこの見学会は営業の人の案内で参加したのだが、個人的には最近流行の「地下空間」萌えや「工場」萌えを期待してきっともの凄いことになっているに違いないと思ったのですが、なんせ地下に機械が所狭しとおさまっているので全容は模型でしかわからず、ちょっと期待していたものとは違った。でもとても勉強になりました。下の写真は世界に5台しかないという冷水タービンターボ冷凍機、これ一台で家庭用エアコンの何万台ぶんとかいう規模らしいです。

ちなみにいつもパークタワーからアクセスする東京ガスのショウルームですが、その上は全て冷却塔だということをはじめて知るというか、知っていたが意識したことがなかった。花崗岩のパークタワーのようなデザインで隠されているが、この部分だけでは「工場」マニアを萌えさせる露出したグロテスクな配管が見えるデザインになっていると都会に現れたプラント建築(パリのポンビドウセンターかロンドンのロイズ)もアリかなと思ったりした次第であった。はじめの写真なんて地下はポンピドウセンターそのままに見えます。下の写真はクーリングタワーの模型。

2010/3/13 ishikawa

35・CASBEE評価員

数日前に登録を申し込んだCASBEE評価員の免許が届きました。建築物の環境性能を評価することが出来る資格です。この資格を取って評価機関で仕事をするわけではないが、昨年の公共建築のコンペでCASBEEの評価値を指定しその基準をクリアすることが条件だったものがあり、今年はさらにそういう条件のコンペが増えるのではないかと予想される。いままでコンペでは環境に配慮した建築とすることという条件のコンペがあったがその配慮する内容については設計者の裁量の範囲で特に基準が設けられないことがほとんどであったが、それも次第にCASBEEのような基準を具体的に示す方向へとシフトしていくのではないだろうか。この資格を取ろうと思った動機は実は昨年秋頃仕事がなくてヒマだったので、何かこの時期に取れる資格はないかと思い探した末に見つけたものであるが、それが今年は活かされる時がきっと来るであろう。(と前向きに結んでおく)ちなみに一緒に写っている右側の証書は自立循環型住宅の設計ガイドラインの受講終了証でこちらは住宅設計に活かせる内容だった。

2010/3/9 ishikawa

36・宇都宮 松が峰教会

聖ヨハネ教会を後にして徒歩で松が峰教会へ行きました。約20分くらい。東武の宇都宮駅の近くにあります。こちらは大きな教会で基壇部の階と祭壇のある階の2階建てになっています。時間が4時頃になっていて天気も雨と少し薄暗い中での見学となりました。質素な雰囲気の聖ヨハネ教会と対照的でこちらは装飾が美しいロマネスク様式の教会です。規模も大きく街中にあって立派な佇まいとなっています。教会のHPを見ると改修を何度か繰り返していて、見学していても新た付け加えたりした部分がオリジナルとは異なるのでは?という箇所が少し目につきましたが、建築関係の人間しか気にならないような些細な部分かも知れません。全体としてはよく保存されていると感じました。この建物の見せ場はやはり外観の大谷石の繊細な装飾で宇都宮でしか見られない地域の特色となっていて美しかったです。ちなみに昭和7年の竣工で聖ヨハネ教会とほぼ同時期の建物です。

 宇都宮カトリック松が峰教会 HP

ここからJRの宇都宮駅まで徒歩で移動、新幹線の時間まで1時間弱あったので駅前で宇都宮名物の餃子店に入って餅米の皮で作ったという餃子食した、美味。久しぶりに一日フルの建築ツアーで充実した一日でした。東京ガスに感謝、感謝。

2010/3/4 ishikawa

37・宇都宮 聖ヨハネ教会

大谷を後にして宇都宮駅行きのバスを途中下車して市内に2カ所ある大谷石で造られた教会を見に行く。写真は聖ヨハネ教会。昭和8年建立の教会である。幼稚園が隣接しいて神父さんのお話だと園舎のほうが明治期に造られた記録が残っていて古い建物だそうだ。教会も園舎も外壁のメンテナンスがゆきとどいていてとても綺麗な大谷石の外観を見ることが出来る。 写真をご覧になっていただけるとわかると思いますが、昭和8年に建てられた教会とは思えないくらい保存状態が素晴らしくて、大切に使われて来たことがわかります。ほぼオリジナルな状態なのではないでしょうか。歩いて足を運んだ甲斐がありました。神父さんにも丁寧に対応していただいて教会のことを説明していただきました。ありがとうございました。

宇都宮聖ヨハネ教会 HP

2010/3/3 ishikawa

38・宇都宮 大谷石採掘場

SUMIKA projectを後にして、大谷石の採掘場へ移動。宇都宮駅から資料館行きのバスが出ていて約30分、バス停から7分で行くことが出来ます。バスで目的地近くにになると山肌が見えているところは全て大谷石となっていて段々と雰囲気が高まります。写真は資料館前の駐車場周辺の山肌。資料館はこんな建物です、申し訳ないがしょぼいです。しかしこの資料館からとんでもない地下空間につながっているのです。大谷の採掘場は知っていましたが、こんなに感動的な場所だとは想像を超えていました。絶句でした。ここではコンサートなども行われているようなので、是非この空間の音響を体験したい。

ここから切り出した石で造られているかは定かではありませんが、この後は大谷石で造られた教会を市内に見学に行きました。

2010/3/2 ishikawa

39・宇都宮 SUMICA project

去る226日にSUMIKA projectの見学会に参加してきました。あいにくの天気で雨が降ったりやんだりでした。

東京ガスの招待で参加させていただきました。参加したときにはこれで見学は終了するとのことで最後の見学者となる予定だったのですが、終了後の住宅やパビリオンの扱いがまだ決定していないらしく、今後については未定らしい。
見学は伊東豊雄設計のパビリオンにて概要説明とパビリオン見学、その後バスで移動して隣り合っている、西沢大良氏、藤本壮介氏設計の住宅へ見学後、徒歩で藤森照信氏設計の住宅へ移動、再びバスに乗り伊東豊雄パビリオンに戻り、パビリオンのキッチンで宇都宮市内のレストランのシェフに料理していただいたランチをごちそうになるというコースでした。東京ガスのいたれりつくせりのサービスで感謝しております。ありがとうございました。

伊東豊雄の今泉パビリオン、六角形を基本に展開された幾何学と集成材の構造によって出来ている、氏のサーペンタインパビリオンの幾何学の扱いと同じ手法によって作られているが、サーペンタインは構造体の隙間にガラスがはめ込まれているのだが、こちらは強化ガラスとによって包みこまれている。集成材の扱いやガラスの扱いが単純でこちらのパビリオンの方が落ち着いていて設計者が意図した通り桜の木に呼応した雰囲気が読み取れて優しい印象を受けた。

これは西沢大良氏設計の「宇都宮ハウス」太陽の運行を平面プランに対応させているため曇天では意図がよくわからなかった。インテリアの壁は真っ黒で全て開閉式の扉になっている。見学の時は全て閉まっていたのだが、全て開けて見たかったが数が多すぎてチャレンジする気にならなかった・・・ちょっと後悔している。あらためて平面を見ると壁面が微妙にカーブしてるので全て開けたときのインテリアからの効果を体験したかった。何か意図があってカーブしているのだろうと思うのだが・・・。夏に井水を床冷房として引き込んでいるシステムにはとても関心がある。写真右は藤本壮介設計の「House before House」

最後は藤森照信氏設計の「コールハウス」外観が表面を焼いて黒くした杉板が張られているのでコールハースという。中にはいると色彩は反転して白いわら入りの漆喰壁と栗の無垢板が貼られている、張り方は朝鮮貼りという言うらしく、床暖房をして収縮して目地が狂ってもあまり目立たない張り方だ。リビングは九間(ここのま)の寸歩(5.4M角四方)で洞窟をイメージして作られている。当日は床暖房と暖炉があってとても暖かくて居心地最高であった。九間という寸法は広くもなく狭くもなく一番居心地よく感じられる広さであるといわれていて有名な吉村山荘の居間もこの寸法である、調べていくと奥深いことがわかる。詳しくはこの本に書かれている「九間論」を参照するとよい。()・日本建築の意匠 (SD選書)

なかなか建築家の設計した住宅(といっても展示施設に近いが)作品を数件まとめてみる機会はめったになく楽しい体験であった。せっかく宇都宮にきたので午後から大谷石の採掘場へと移動するため少し時間を切り上げて中座させてもらい申し訳なかったが、営業担当者も心得ているらしく「バスの時間でしょ」といわれ行動を読まれていました(笑)

40・Seaside villa

1/300スケールの地形模型。海に面した絶好のロケーション。このくらい広い敷地になると建物配置をどうするか色々とアプローチがあって楽しい。しかしこのスケールだと建物の模型を作る時間よりも地形模型を作る時間のほうが長く費やした。しかし作ってみるとわかるのだが、建物と地形と一体になった見え方に配置計画を解くひとつの鍵があることに気づく。地形模型と一緒に考えないと計画が進まない。敷地は海から10M程レベルが上がったところにあって、建物から海がどのように見えるかと、同時に海から建物がどのように見えるかも重要であることを確認し。建物配置は海側一杯に寄せて計画すすることになった。

まだ大雑把なところしか決まっていないが、せっかく自然の中に建つのだから出来るだけオープンな建物したいと思っていて、グレン・マーカットの建物外皮のように内部と外部との調整機能が豊かなものを目指して今後スタディをしてみようと考えている。で1/300から1/100にスケールアップして作った模型はボツになりそう。機能的な面で変更があったことと、コンクリートの壁が閉鎖的、屋根形状が地域色出過ぎというのが主な理由。現在全く違う案を作成中。1/100はA1パネル2枚組でサイズは約840×840。

2010/2/25 ishikawa

41・電子認証

会社の電子認証を取得しました、価格は税込みで16,800円でした。帝国データバンクで発行しているタイプのもです。なぜ電子認証が必要かというと、現在、東京都と及び都下の自治体では民間業者に発注する際に自治体に登録している業者に発注することになっているからです。その登録が最近は電子化されているため、ネット上で会社の身元を認証する電子認証が必要で、これを取得しないと登録さえできないということです。
 そもそもなぜ電子認証を取得したかといえば、公共のコンペやプロポーザルに参加すするためです。最近は応募条件に必ず「業者登録をしていること」と書かれています。じゃ直ぐに登録すればいいじゃんと思われるかも知れませんが、電子認証の取得に2週間かかってしまい、おまけにネットで自治体に登録するにもタイミングがあってなかなか直ぐに登録ということにはなりません。おまけに弊社のパソコンはマックなので、電子認証はウィンドウズのみの対応とあって、なかなかうちにとってはハードルが高い作業でした。
それでも気を取り直して作業をはじめたのは、お下がりで昨年夏にウィンドウズのノートPCを貰ったかです。重い腰を上げて、馴れないWINマシンを動かし法務局や税務署に行ったりとして何とか電子認証を取得しました。

しかし・・まだ肝心の自治体への登録をまだ終えてません・・・・なので途中経過の報告です。・・・・面倒臭い・・・・・なんとか今月中に作業を終えたい。

2010/2/9 ishikawa

42・一級建築士定期講習

一級建築士定期講習に行ってきました。
建築士法が改正になりいままでは、一級建築士免許を取ったら更新することなく一生有効でしたが、耐震偽装事件から一級建築士に対する世間の信頼がゆらぎ、3年置きの更新制になりました。改正になってまだ間もないので、いままで免許を持っていた人は経過措置で来年まで有効なのですが、なにせ免許所有者が来年一気に更新になると講習会をしている機関がパンクして更新が出来なくなるのではと危惧されていています。ということで、少し更新のサイクルを早めることになりますが、昨日行ってきました。講習は朝の9時から夕方の4時くらいまでびっしりとあって、最後に考査とよばれるテストがあり、それに合格しないと免許が更新できません。テスト自体は講習テキストを見て良いので簡単ですが、1時間のテスト時間内に終わらそうと思うと、講習をしっかりと聞いて、ポイントをつかんでおかなければ答えが直ぐにはわからないでしょうね。わたしはちょうど10分前くらいに終了しましたが、隣のおじさんは、講習を聞かずに関係ない本を読んだり、寝たりしていたせいで、テストの時は大慌てでテキストを見ていましたが・・・・・雰囲気としては全然おわってないかんじだったので、やばそうでしたね。3年に1回の講習としては建築基準法の改正ポイントや建築士業界の動向をまとめて知るのに良い内容の講習と思います。難点は12000円と高価なことと、講習の日にちに自由度が少ないことでしょうね、日曜日に更新できるようにして欲しいですね。

2010/1/23 ishikawa

43・CASBEE評価員試験

合格 でした。

CASBEEとは「建築物総合環境性能評価システム」のことで建築物を環境性能で格付けする手法のことです。評価員とは読んで字のごとく、その格付けを審査する人のことです。1級建築士を持っていないと受験資格がありません。また「CASEE戸建て」というのもあって、別の資格になっていますが、CASBEEの評価員の資格があれば、講習を受ければ資格が得られます。
昨年の11月にCASBEEの講習を受けて12月初旬に試験をうけました。試験の手応えがよくなかったのと、あまり勉強できなかったので実はダメかと思ってましたが、見事合格でした。まぁ実のところ今回の合格率は85%だったようで、不合格のほうがかなり恥ずかしいのですが。ちなみに試験は教科書持ち込み可で44問中31問正解で合格です。
 昨年の秋は仕事もあまりなく何か将来に役にたちそうな資格を取ろうと考えてこの試験にチャレンジしました。昨年はCASBEEのランクを指定する公共建築のプロポーザルもあったりして、知らないままでは済まされないことになってきそうな雰囲気も後押ししました。7月には「CASBEE戸建て」の講習会があるのでこれをうけて戸建ての評価委員の資格も取得予定です。1年ほど前に「自立循環型住宅」の講習も受けましたが、こちらは資格試験はありませんが、住宅設計に対する実効性はこちらのほうがずっとあります。今後、昨年のこうした勉強の成果を実務の場で活かしていきたいと考えています。

とりあえず めでたしめでたし。

2010/1/15 ishikawa

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井戸掘り体験会W.S
2015年6月6日土曜日にdpaアトリエの前庭にて井戸掘り体験work shopを開催します。dpaではかねてより「水」をコンセプトとして建築づくりを研究しています。井戸掘りは地下水利用による建築を設計するためのデータ収集用に設置することにしました。
ご興味ある方は6月6日に井戸のある住宅の展示も予定しいますのでご覧いただき、ご指導、ご意見いただければ幸いでございます。
当日、直接来ていただいてもかまいませんし、作業をしたい方はフォームにてご連絡下さいませ!
6月6日の予定
9時より準備作業、掘削開始
12時〜13時昼食
13時〜16時掘削作業
協力:シップスレインワールド株式会社
未来をのぞく住宅展
下記イベントに参加します!
ご来場をお待ちしています。
ASJ東京中央スタジオ
武蔵野市民文化会館 展示室
3/20(土)12:00〜18:00
3/21(日)11:00〜18:00
入場無料(終了しました)
リニューアル中
昨年12月末よりホームページをリニューアル中につき2月中はコンテンツの追加や内容の改訂などが多数ございますがご了承下さい。
リノベーション×建築家
ASJ武蔵野スタジオ
小金井市民交流センター B1・市民ギャラリー
東京都小金井市本町6-14-45
1/31 (土) 11:00~18:00 
2/1 (日) 11:00~18:00 入場無料 (終了しました)